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潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは

大腸に炎症が続く指定難病

潰瘍性大腸炎とは|大腸に炎症が続く指定難病潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に原因不明の炎症が起こり、びらん(ただれ)や潰瘍ができる慢性的な病気です。炎症性腸疾患(IBD: Inflammatory Bowel Disease)の一つで、日本では国の指定難病に定められています。
主な症状は、血便を伴う下痢や腹痛で、病状が活発な「再燃期(活動期)」と、症状が落ち着いている「寛解期」を繰り返すのが大きな特徴です。完治させる根本的な治療法はまだ確立されていませんが、適切な治療を継続することで、炎症をコントロールし、健康な方と変わらない日常生活を送ること(寛解維持)が治療の目標となります。

なぜ指定難病なのか|
医療費助成について

潰瘍性大腸炎は、長期にわたる治療が必要で、患者様の生活に大きな影響を及ぼすことなどから、指定難病とされています。これにより、重症度など一定の基準を満たす方は、国や自治体から医療費の助成を受けることができます。申請手続きや制度の詳細については、当クリニックでも丁寧にご説明・サポートいたしますので、お気軽にご相談ください。

潰瘍性大腸炎の症状

再燃期には、以下のような腸の症状や、全身の症状が現れます。

潰瘍性大腸炎の症状
  • 下痢、血便、粘血便(粘液と血液が混じった便)
  • 腹痛
  • しぶり腹(便意があるのに出ない、または少量しか出ない)
  • 頻繁な便意(便意切迫感)
  • 発熱
  • 体重減少、食欲不振
  • 貧血、全身の倦怠感

また、腸以外に関節痛、皮膚症状(発疹)、眼の炎症といった腸管外合併症を伴うこともあります。

潰瘍性大腸炎の原因

ストレスは悪化の要因に

潰瘍性大腸炎の明確な原因は、残念ながらまだ解明されていません。しかし、遺伝的な要因を持つ人が、食生活の変化、腸内細菌のバランスの乱れ、免疫システムの異常など、複数の要因が複雑に絡み合って発症するのではないかと考えられています。
精神的なストレスが直接的な原因ではありませんが、症状を悪化させる引き金になることはよく知られています。

潰瘍性大腸炎の検査と診断

潰瘍性大腸炎の検査と診断診断のためには、まず詳しい問診で症状の経過をお伺いし、感染性腸炎など他の病気を除外した上で、大腸カメラ検査を行います。
大腸カメラでは、潰瘍性大腸炎に特徴的な炎症所見(直腸から連続的に広がる炎症など)を直接確認します。また、組織の一部を採取する病理検査を行い、診断を確定します。病気の範囲や重症度を正確に把握することは、適切な治療方針を立てる上で不可欠です。

当院の大腸カメラ検査
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潰瘍性大腸炎の治療方法

治療の目的は、まず薬物療法で炎症を鎮めて症状を改善させ(寛解導入)、その後、良い状態を長く維持する(寛解維持)ことです。

薬物療法

薬物療法治療の基本となるのは、5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤です。飲み薬、坐薬、注腸剤など様々な剤形があり、炎症の範囲や重症度に応じて使い分けます。この薬には、炎症を抑えるだけでなく、長期的に大腸がんの発生リスクを低下させる効果も期待されています。
中等症~重症の場合は、免疫の働きを調整するステロイドや免疫調節薬、特定の分子を標的とする生物学的製剤JAK阻害薬といった専門的な治療薬を使用することもあります。

外科手術

薬物療法で効果が得られない重症例や、がんを合併した場合などには、大腸をすべて摘出する外科手術が検討されます。手術が必要と判断した場合は、IBDの外科治療に精通した専門病院へ速やかにご紹介いたします。

【Q&A】潰瘍性大腸炎について

潰瘍性大腸炎の食事で気をつけることは何ですか?

症状が落ち着いている寛解期は、基本的に食事制限はありません。バランスの良い食事を心がけましょう。一方、症状が悪化している再燃期は、腸に負担をかける食事は避けるべきです。具体的には、高脂肪食(揚げ物、脂身の多い肉)、食物繊維の多い食品(ごぼう、きのこ類、海藻など)、香辛料、アルコール、炭酸飲料などは症状を悪化させることがあります。低脂肪・低残渣(消化の良いもの)を基本に、おかゆ、うどん、白身魚、豆腐、鶏のささみなどを摂るようにしましょう。

妊娠・出産は可能ですか?

はい、可能です。病状が落ち着いている寛解期に妊娠・出産することが望ましいとされています。治療薬の多くは、妊娠中や授乳中も安全に継続できることが分かっています。自己判断で薬を中断すると、かえって病状が悪化し、母体や胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。妊娠を希望される場合は、必ず事前に主治医にご相談ください。消化器内科と産婦人科が連携し、安全な妊娠・出産をサポートします。